2021年11月10日 07:00
明治座『本日も休診』柄本明×花總まりインタビュー「試行錯誤しながら夫婦像を見つけましょう」
知る人ぞ知る方で、絶版になっている単行本もあったりして。
──その原作をもとに、舞台版の脚本は水谷龍二さんが書かれました。柄本さんは何かオーダーされたんでしょうか?
柄本いや、特にしなかったですね。見川先生のエッセイって、ご自分で「便所文学だ」とおっしゃるほど一編が短いんですよ。トイレで用を足すついでに、1エピソードずつ手軽に読み進められる。その短編エッセイを二幕ものの長い舞台作品にすることに、水谷さんは苦労なさったと思いますね。それにエッセイには村人たちのエピソードは書かれていても、鯛山先生やテル子さんはそれほど登場しないんですよ。原作に書かれていないキャラクターの描写も大変だったんじゃないでしょうか。
花總私も原作を拝読しようと思ったんですが、「読まなくていい」と言われまして(苦笑)。原作にあんまり出てこないから「頼りにしなくても大丈夫ですよ」といちばん最初におうかがいしたんです。これまで歴史上に実在した人物を演じる時は資料にあたってきたんですが、今回は台本に書かれているセリフをもとに役をつくっていく方が軸になる気がしています。
──完成した台本をお読みになって、おふたりはどのように感じましたか?
柄本演出のラサール石井さんも手を入れてくださって、いいホンができたんじゃないかと思います。