異色のアニメーション映画『音楽』が表現する、“楽しむこと”の価値
それさえあれば、“音楽”は成り立つし、人の心を動かすことはできるのではないのか。それは、従来の日本のアニメーション技術に頼ろうとしない監督の映画への想いとつながっているのかもしれない。
音楽文化は、生演奏、レコード、CD、そして音楽データ配信など、わずかな年数で、そのかたちや楽しみ方が広がり、または衰退するなどの変遷を見せてきた。時代に影響され、音楽がかつてないほど具体的なイメージを無くしていくなか、登場人物の学生の想いや、作り手の衝動は、音楽の根っこにある価値を、じつはまっすぐに表現しようとしているように思える。
『音楽』
公開中