『カナレットとヴェネツィアの輝き』展示レポート 水の都ヴェネツィアを描いた多彩な景観画が一堂に
18世紀のヴェネツィアで、「ヴェドゥータ」と呼ばれる景観画で人気を博した巨匠カナレットの全貌を紹介する日本初の展覧会が、東京・新宿のSOMPO美術館で開催されている。カナレットに加え、光あふれる水の都ヴェネツィアに魅せられた画家たちがとらえた多彩な景観表現も楽しめる展観となっている。
1697年にヴェネツィアで生まれたカナレットの本名は、ジョヴァンニ・アントニオ・カナル。父のベルナルド・カナルが舞台美術家として知られた画家だったため、区別のために「小さなカナル=カナレット」と呼ばれるようになった。日本ではあまり知られていないかもしれないが、西洋では評価が高い。英国では特に人気があり、作品を最も多く所蔵する英国王室では、今もその作品がバッキンガム宮殿の客間を飾っているのだとか。
左:フランチェスコ・グアルディに帰属《ヴェネツィア鳥瞰図》1775年英国政府コレクション 右:ヤーコポ・デ・バルバリ《ヴェネツィア鳥瞰図(1500年・初版の複製)》1962年新潟県立近代美術館・万代島美術館
今回は、このカナレットの業績を日本で初めて検証する画期的な展覧会となるが、同時に今も世界遺産として愛されるヴェネツィアがどのように描かれてきたのか、その表象の流れのなかでカナレットを位置づける機会ともなっている。