くらし情報『スタジオジブリの過去作はどのように“デジタル化”されたのか? スタッフが語る』

スタジオジブリの過去作はどのように“デジタル化”されたのか? スタッフが語る

それに昔はフィルムのピックアップ(35ミリフィルムのサイドに音声トラックが焼き付けられていて、それを上映時にアナログで拾って再生していた)だったので、静かな場面でも“サーッ”ってノイズが入っているんですね。今回のDCPではそのノイズはあえて残しています。というのも、あのノイズが鳴ることを前提に効果音が仕込まれていないシーンもいっぱいあるんですよ。あれが“空気感”になっているので。それをあえて残すことで、DCP上映でもフィルムで観ている時の感覚を残しています。

それから、昔の機械だとフィルムでは高音があまり出なかったので、ミックスする段階で高音を少しだけキツ目に入れていたりするので、DCPでは逆にフィルターを入れて、音を少しだけ丸くしてあげたりとかもしています。―音響も映像と同じく“初号時の再現”が目標になっているんですね。

古城そうです。
できるだけフィルム風にしたい。というのも、前に一度『となりのトトロ』で“ノイズをすべて消したバージョン”を試したことがあるんですけど……トトロがサスペンス映画になっちゃうんですよ(笑)。サツキとメイが雨の日の夜のバス停でお父さんの帰りを待っている場面があるんですけど、あのシーンは効果音も少ないですし、雨水が地面に落ちる音がして、夜のお稲荷さんが出てきて……これじゃ完全にサスペンス映画なんです(笑)。

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