古代オリエントからルネ・ラリック、濱田庄司まで240点を紹介 パナソニック汐留美術館『香りの器 高砂コレクション展』
左《両耳付筒型香油瓶》 前4-3世紀 東地中海沿岸域中《両手付香油壺》前4-3世紀 東地中海沿岸域右《コホル瓶と青銅製ビン》前5-4世紀 東地中海沿岸域
ガラスは紀元前2300年頃にメソポタミアで発明されたと考えられ、人類は前1600年頃に容器を形作れるようになった。粘土の芯にガラス生地を巻きつける方法(コアガラス)で作られた容器に王侯貴族たちは、この器のなかに香油などを入れていたとされている。
時代は進み、17世紀頃になると現在の形での「香水」が作られるようになり、18世紀には庶民にまで普及する。その過程で、さまざまな形の香水瓶も生まれていったた。ドイツではマイセンの職人たちが、ボヘミア(チェコ)では、ガラス職人たちが、さまざまな形の香水瓶を制作している。
マイセン《色絵勿忘草文貼付香水瓶(一対)》19世紀
ボヘミアン・ガラスの香水瓶がずらりと並ぶ
そのような状況下で、香水瓶の世界、そしてガラス工芸、デザインの世界を大きく変えたのがルネ・ラリックだ。19 世紀末、アール・ヌーヴォー全盛期に宝飾デザイナーとして活躍していたラリックは、1912年、現在も人気ブランドとして知られるコティ社から香水瓶のラベルデザインを依頼されたことをきっかけに、香水瓶そのもののデザインにも着手するようになる。