くらし情報『私たちはいつも“仮面”をつけている!? 『泣きたい私は猫をかぶる』監督が語る』

私たちはいつも“仮面”をつけている!? 『泣きたい私は猫をかぶる』監督が語る

ことを迫る。

自分の想いを相手に伝えられないムゲと日之出は、表面的にはあえてトリッキーに振る舞ったり、意図的にクールな振りをしている若者で、アニメーションならではのデフォルメされた表現やセリフまわしが効果的に使われているが、観る者が「ここで描かれている人が本当に存在する」と思える不思議なリアリティがある。

佐藤アニメーションにおける“本当らしさ”は、実写や現実をトレースしただけではダメなんです。これまでのアニメーションの歴史がすでに何十年かありますから、そこにはある程度の“型”のようなものはあるので、それを無視しないというのがひとつ。それに表情はデフォルメしても、動きは本当の人間と同じように動かすことを軸にしています。あと、アニメーションのセリフの尺は実写映画よりも長いんです。それは小さい子どもに向けて、ひとつのセリフの中にしっかりと感情を入れていけるように、セリフの尺が少しだけ長く設定されているからなんですけど、それを実写の俳優さんがそのまま喋ってしまうと必ず画が余ってしまう。でも、その尺の中で描くことでアニメーションの“本当らしさ”が出てくる。
だからこの作品でもセリフの尺を現実や実写に寄せるのではなくて、なるべくスタンダードなアニメーションの間でつくって、(ムゲ役の)

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