私たちはいつも“仮面”をつけている!? 『泣きたい私は猫をかぶる』監督が語る
観客は感情を込めてセリフを言っているところよりも、セリフを言ったあとに鼻をすするとか(笑)、意味のないところの方が実は存在感を感じる。だから、そういう部分は落とさないようにして、観ている人が「ああ、あるな、それ」と思えるものは、たとえセリフを削ってでも入れていく(笑)
柴山佐藤さんはアニメーション業界ではレジェンド級の方ですから、佐藤さんの言われることはすべて正解なんじゃないかと最初は緊張もしていたんですけど、それだけじゃダメだろうなと思って、いろいろとアイデアをぶつけていく中で佐藤さんのリアクションをもらいたいと思うようになりました。それに、制作したスタジオコロリドは若いスタッッフが多くて、僕は佐藤さんとスタッフの真ん中ぐらいの年代ではあるので、自分がうまくつないであげてスタッフのエネルギーを効果的に画面に活かせないだろうかと考えました。
劇中でムゲは仮面をかぶって猫に姿を変えて日之出の前に現れるが、結果として猫になっている時の方が自分の素直な感情を表現できる。日之出もまた、猫を相手にしている時にだけ自分の本心を語る。しかし、日常のふたりは周囲の空気や流れを過剰に気にしていて、本当の自分を出せず仮面をかぶっている状態だ。