2023年11月16日 12:00
【レポート】ルパン古川雄大が変幻自在に演じ分け ミュージカル・ピカレスク『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』
女性たちの心を捉えるが、彼の正体は謎の美女カリオストロ伯爵夫人(柚希礼音/真風涼帆のWキャスト)だった。夫人はルパンの名をかたって男爵所蔵の絵画と燭台の枝5本、そしてクラリスを奪い去る。
ボーマニャンや部下のレオナール、ルパンやホームズまでをも虜にするこの魔性の女役をゲネプロで演じた柚希礼音は、元男役の経験を生かしながら、男役時代とはまた違う独特の妖しい美しさで、男たちだけでなく、観客をも魅了した。盗難騒ぎで混乱する屋敷には、ルパンを追うパリ警視庁のガニマール警部(勝矢)がやってきて捜査を開始する。消えたクラリスを思い、今まで出会ったどの女性とも違うと歌う古川の歌声がせつない(「白いバラのような君」)。
翌日、男爵邸に集まった記者たちの中には、変装したルパンの姿があった。髪の色や服装だけでなく、声色や仕草、喋り方まで変えてみせる古川は、変幻自在の活躍で大いに楽しませてくれる。屋敷にはルパン・マニアを自認するイジドール(加藤清史郎)も紛れ込み、独自の推理を語る。ついにはイギリスからシャーロック・ホームズ(小西遼生)も到着するが、大真面目なところが逆におかしいこの有名な探偵を、小西が絶妙な味わいで演じているのも見どころのひとつだ。