おとな向け週末映画ガイド 『グッド・ヴァイブレーションズ』『トム・オブ・フィンランド』『あなたの名前を呼べたなら』『風をつかまえた少年』、特集上映では「京マチ子追悼映画祭」に注目!
舞台はムンバイ。新婚家庭のメイドに雇われた農村出身の未亡人ラトナが主人公です。雇い主は建築会社の御曹司アシュヴィン。アメリカ帰りのぼんぼんです。新婚のはずが、結婚直前に破談、一人暮らしとなってしまいます。彼の食事を始め、身の回りのケアは住み込みのメイド、ラトナの仕事となります。こうなると、ふたりが接近しても不自然でないのですが、インドではこれは絶対にありえないことなのだそうです。
結婚4カ月で夫に死別したあとも、村の風習により婚家に縛られ、自由が利かない暮らし。
そこから逃げ出し、都会でメイドをしながら、ファッションデザイナーになる夢にチャレンジしているラトナ。そのひたむきな姿に、アシュヴィンは次第にひかれていき……。
原題は『Sir』、ご主人さまと訳されます。日本語タイトルとあわせてみると、ラトナの心の叫びを汲み取ったなんとも見事な題名です。
『風をつかまえた少年』
これも実話を基にした映画。イギリスとマラウイの合作です。マラウイはアフリカ南部の小さな内陸国。2001年、この国を洪水とそれに続いて干ばつが襲います。
零細な農業を営む主人公ウィリアム少年の家族も、その日の食事に困る生活で、入ったばかりの中学校の学費が払えません。