2021年12月7日 07:00
「セクシュアルマイノリティ」について自分の意見がなかった神尾楓珠がゲイの高校生を演じて気づいたこと
だけど、当事者ではない自分にとっては、少し遠い出来事のようにも思えた。それが、まだ安藤純を演じる前、ひとりの20代の青年である神尾楓珠のリアルな気持ちだった。
「映画の中で、純のクラスメイトたちが同性愛について話す場面があるんですけど、たぶんあそこに純を演じる前の僕がいても何も発言しなかったと思う。別に否定する気もないし肯定する気もない。語る言葉が何もないという感じでした」
そんな神尾楓珠が、なぜ安藤純を演じることになったのか。プロデューサーからは「世捨て人感が(純に)似ている」と言われたという。
「それを聞いて、確かになと。純ってどっかあきらめているような部分があるじゃないですか。
そこは自分にちょっと似ているのかなと思いましたね」
無邪気に戯れる高校生たちの中で、普通に擬態して生きる純。その目は、確かにどこか冷めている。なぜ純はあきらめなければいけなかったのか。そう問うと、神尾楓珠はこの作品のキーとなる台詞を引用して答えた。
「たぶんそれが純にとって“世界を簡単にする”方法だったんだと思う。純が円滑に人生を歩むための手段だったんじゃないかなって。あの台詞はすごい刺さりました。すごいですよね。