2021年6月30日 17:00
『ロミオとロザライン』作&演出・鴻上尚史インタビュー「川崎皇輝が誠実に愛し、あがく姿が観客の胸を打つ」
最初は一緒にひとつの作品をつくるから俳優と共同作業する立場の人間なんだけど、本番の幕が開いたら、あとは俳優に任せるしかないんだよね。その「残された感じ」というか「弾き飛ばされた感じ」がロザラインと重なるんです。
皇輝は稽古場で照れるんです
──物語の始まりを聞けば聞くほど、主演を務める川崎さんがふたりの女性に挟まれてタジタジしている様子が思い浮かんでしまいます。
まさにタジタジしてますよ(笑)。演出家役の(吉倉)あおいも、ジュリエット役の(飯窪)春菜も年上だしね。お姉さまふたりに囲まれて、必死になってがんばっていますよ。
──鴻上さんの目から見て、舞台初主演にしてタイトルロールのひとりを務める川崎さんの、俳優としての魅力はどこにあると思いますか?
誠実に一生懸命ってとこだね。年上のお姉さん相手に一直線でぶつかっていく。
ただ誠実に愛そうとして、必死にあがいている姿が観客の胸を打つことになるんだと思うよ。
──若手育成の場として立ち上げられた虚構の劇団をはじめ、公演中止になってしまった『スクール・オブ・ロック』(2020年)の最終審査を見学していた時に強く感じたのが、鴻上さんの“教育者”としての側面でした。