2021年12月18日 12:00
ヨーロッパ企画・上田誠「魔窟がそうであるように、演劇も足を運ぶことで観られるものがきっとある」
でもとても楽しい世界をつくりあげておられましたが、例えば、社会的状況を踏まえて芝居のことを考えたりされますか?
ああ~、こういう話は慣れないのですが、でもそうですね、これは趣味の問題でもあるけど、僕はけっこう、こういう時期はファンタジーをやったほうがいいなというふうに考えています。やっぱり今みたいな時は、舞台上くらいは別世界で、明るい話をスカッと見たいよねっていうのは、なんとなく思っていましたし、エンタテインメントはそうありたいとも思っています。だから『夜は短し歩けよ乙女』は後半で風邪が流行するシーンが出てくるので、これどうしようかなと思っていて。
上田が脚本・演出を手がけ、2021年6月に上演された舞台『夜は短し歩けよ乙女』
――言われてみれば。「冬」の章は、風邪が流行って、みんなが家にこもって、という展開で、今と重なりますね。客席では気付きませんでしたが。
だからそのシーンに至るまでに、いかにお客さんをファンタジーに包んでしまうか、みたいなことは考えていました。押し切ろう!みたいな。
でもある時、竹中直人さんがくしゃみのシーンで「うわ、飛沫すげーな」というアドリブを飛ばされていて(笑)。