阿久津仁愛の現在地「芝居はうまく見せようとするとダメ」
僕たちの前では、原田のぶおという先生そのものでした。何もかもがリアルすぎるんです。一貫して役として存在していた印象があって、どうやったらあんなふうになれるんだろうって、ずっと古田さんのことを見ていました」
阿久津が演じたのは、古田演じる原田のぶおが担任を務める2年3組の男子生徒の一人。初めての連ドラレギュラーに慌てふためくことばかり。あっという間に時間が過ぎていった。
「初めての連ドラで、なかなかの台詞量で。スケジュールも結構タイトだったんですよね。台本が来たらすぐに覚えるという感じで、正直、あの頃はいつもヤバいヤバいってなってました(笑)。
でもそんなときに古田さんとお芝居をさせていただくと、ああそうか、お芝居って相手の芝居を受ければちゃんとできるんだという、すごくシンプルなことに気づかされるんです。本当に吸収させていただくことばかりでしたし、あの作品をやって映像もやっていけるかもしれないという自分の中で小さな自信もできた。もう5年も前ですけど、今でも大事な作品です」
時が経ち、あどけない10代の男の子だった阿久津仁愛も、凛々しい表情が似合うようになってきた。『邪魚隊/ジャッコタイ』で見せる長髪を後ろに束ねた姿も、品と清涼感に溢れている。