リストとショパンの絶妙リンク──阪田知樹の注目公演
最近は指揮のほうがメインになってしまいましたけど、ピアニストとしての彼は協奏曲第2番が大の得意曲でした。彼は先生がアニー・フィッシャーで、その師は作曲家・ピアニストのエルンスト・フォン・ドホナーニと、ハンガリーの系譜です。
自分がこれまでそんなふうに演奏し研究してきたリストという音楽の真髄を、この演奏会でお伝えできたらと、私自身も楽しみにしています」
©Ayustet
ショパンの全像を聴く、前奏曲集+練習曲集=全48曲リサイタル
3月にはショパン・リサイタル。「これは普通にショパン・リサイタルです」と笑うが、《12の練習曲 Op.10》《12の練習曲 Op.25》に《24の前奏曲 Op.28》を合わせた48曲のプログラム構成は、かなり独自だろう。
「そうですね(笑)。じつはまず裏のテーマとして、1月のリストとつながっています。ショパンの《12の練習曲 Op.10》には有名な逸話があります。作曲してすぐにリストに見せたとき、なんでもすぐに弾けるはずのリストが、『ちょっと待って』と1週間ぐらい雲隠れしたというんですね。
そして戻ってきて、じつに見事に弾いた。それを聴いたショパンが、『あの演奏の仕方を盗みたい』と言ったのだそうです。