リストとショパンの絶妙リンク──阪田知樹の注目公演
そのように敬意を表して、ショパンはこの曲をリストに献呈しているわけです。
Op.25のほうは、リストが当時交際していたマリー・ダグー伯爵夫人に献呈されています。たぶん、リストがOp.10を見事に弾いたのを念頭において、オマージュの意味で、全24曲の練習曲集を、リストとそのパートナーに献呈したのでしょう。そういう意味で、ショパン・プログラムではあるのですけど、リストとの関係性も隠れているんです」
そしてなにより、前奏曲集との組み合わせが注目される。
「やっぱりそこが疑問ですよね(笑)。ショパンの練習曲を全曲演奏するなら、前半にOp.10、休憩後にOp.25を弾いて終わるのがだいたい普通です。あとはそこに《3つの新練習曲》を足すかどうかぐらい。
今回私はこの24曲を後半にまとめて、前半に《24の前奏曲》を置きました。
リストへのオマージュである24曲の練習曲を、ショパンの美点が凝縮された24の前奏曲と組み合わせる。“24”ずつという数字がきれいでしょう?でも、はっきり言って自殺行為的なプログラムです(笑)。
ただ、私が好きなピアニストのひとり、アルフレッド・コルトーが1952年に来日したときにこのプログラミングでリサイタルをしているんです。