おとな向け映画ガイド 今週のオススメはこの4作品。
、イェーガー君の活躍も特筆ものです。
『つつんで、ひらいて』
本の装幀、手がけた数は1万5千冊という、この世界の第一人者、装幀家・菊地信義さんを描いたドキュメンタリーです。
大江健三郎、吉本隆明など文芸書が多い菊地さんの仕事。一冊一冊、どんなカバーをつけるか、どんな書体でタイトルを表現するか。タイトルがプリントされた紙を、くしゃくしゃにまるめ、それを広げ、またくしゃくしゃにし、広げて、コピーを取る。 文字がかすれた感じになって。うん、これでできた、とうなづく。文字を切り取り、レイアウト通りに貼り込む。
それで実際のカバーのように本を包んで、眺めてみる。映画のこのタイトルは、そんな菊地さんの仕事ぶりそのままです。
それから、文字を、例えば0.5ミリ右に、とか動かして調整する。もちろん最後はパソコンでの作業になり、そちらは助手の方がやられるので、菊地さんのデスクは筆記具とカッター、のりの手仕事道具のみ置かれています。芸術家でもデザイナーでもなく、本の職人さんです。お弟子さんにあたる、若い装幀家・水戸部功さんの「パソコンでスケッチしている感覚」という、パソコンで完結する仕事の仕方とは好対照です。