2022年10月4日 07:00
【コラム】『ジャージー・ボーイズ』中川晃教と花村想太のWフランキー体制への点と線
それでも、ただただ“中川が演じるフランキー・ヴァリ”が観てみたくて、そのためだけに日本版を熱望したのだ。
10年越しの妄想が叶うことになった2016年、JB絡みで中川を取材する機会に何度か恵まれた。1度目はまだ稽古が始まる前、中川単独のいわゆるプロモーション取材。話の流れで、オーディション用に録音されたフランキーとしての歌声を聴かせてもらうことができ、これはどうやら妄想以上の当たり役になりそうだと鼻息を荒くしたものだ。そして2度目が、稽古場でのボーイズ座談会。やはり4人のハーモニーこそ本作の要であると思わされる話を聞いて、早く聴きたい想いを抑えきれなくなり、このあとは振付稽古だから歌わないですよと言われてもなお望みを捨てきれず、稽古場に残って見学させてもらうことにした。
振りがある程度入った頃、1曲通してみようという話になり、ボーイズがあくまで振りの確認のためではあるが、軽く歌いながら踊ってくれた時の、興奮は到底忘れられるものではない。あまりの尊さに、気付いたら涙が頬をツーと伝っていた。
公私混同もいいところのヤバいライターである。居合わせたスタッフの皆さんから温かい失笑を買ったが、初めて聴く日本版ボーイズのハーモニーはそれほどに崇高だった。