くらし情報『【おとなの映画ガイド】吉永小百合が寅さんみたいに恋しちゃう母親役。あたふたする息子役は大泉洋。山田洋次監督ならではの下町人情ドラマ──『こんにちは、母さん』』

2023年8月28日 12:00

【おとなの映画ガイド】吉永小百合が寅さんみたいに恋しちゃう母親役。あたふたする息子役は大泉洋。山田洋次監督ならではの下町人情ドラマ──『こんにちは、母さん』

気をもむのは息子の方だ。さあ、ここからは、お豆腐屋さんの職人芸に近い展開だ。軽やかで、まことに心地よい。

気持ちをよくさせてくれる大きな要因は、吉永小百合の演技にあるように思える。

吉永小百合さんというと、10代の頃からずっと続く真面目でひたむきな姿や、『夢千代日記』などにみる不幸をけなげに背負うイメージが、近寄りがたい高貴さを醸し出していて、つい距離をおいて見てしまう感じがあった。でも、この作品は、そうではない。

何が違うって、言葉使い、なんだろうな。体を動かす時に、「よっこらしょ」といったり、ついひとり言をいったり、時には酔っぱらったり、そのセリフがとても自然だ。


【おとなの映画ガイド】吉永小百合が寅さんみたいに恋しちゃう母親役。あたふたする息子役は大泉洋。山田洋次監督ならではの下町人情ドラマ──『こんにちは、母さん』


髪の色の変化に気づいた息子が「あ、髪染めた?」と声をかける。母は「悪いねえ〜」と鼻歌でも歌っているように、言葉を返す。ぜんぜん悪いと思っていない。わたしゃ好きでこうしているんだ、もう好き勝手にやらせてもらうんだ、そんな時にいう「悪いねえ〜」。この自由に生きるんだ、と決めた母の姿が、映画全体の雰囲気を作っている。

吉永は、役作りのために、大泉の子どもの頃の写真をかき集めてもらい、じっくり見たという。「ホントによくしゃべる子でねえ」

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