『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』が映し出す、グザヴィエ・ドランの新境地と原点
また、出演者とともに、映像の質感もこれまでにない重厚なものに仕上がっているのも本作の特徴。本作はドランにとって、映画監督としての新しい扉を開けるものとなっている。
だが同時に、若くして才能を授かったジョン・F・ドノヴァンもルパートも、これまでのドラン本人を強く感じさせるキャラクターであり、ジョン・F・ドノヴァンと母親(サランドン)、ルパートと母親(ポートマン)の確執をそれぞれ描くなど、“母と息子の関係”というテーマが、これまで同様、この作品においても繰り返される。そこで我々観客は、これがドランの作品だということを改めて意識することになるのだ。
『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
本日より公開