2019年8月16日 18:00
おとな向け週末映画ガイド 今週オススメしたい映画は、この4作品。
鉄道員仲間が集まると、俺は何人殺した、と人身事故の話題ばかり。その恐怖を克服して初めて一人前とか、世間の人が聞いたらヒンシュクものの会話が飛び交います。しかしそれは、笑い飛ばさないとやってはいられないほど、トラウマになっているからです。実はイリヤも、美しい自慢の妻を若い時に列車事故で亡くしています。大事に育てている花は、犠牲者たちへの弔いの花束用でもあるのです。
ある日、鉄道自殺をしようとしたみなしごの少年シーマを、すんでのところで救ったイリヤは、実の息子のように育ててゆきます。やがてその息子も鉄道運転士をめざすのですが……。
「線路は幸せを運んでくる……ごくたまに」。
イリヤが心を許す女友だちの、この言葉がとても印象的でした。人生悪いことばかりではない、そんな作品です。イリヤ役は、バルカンを代表する名優ラザル・リストフスキー。この作品のプロデューサーも兼ねています。監督はベテランの、ミロシュ・ラドヴィッチ。同じバルカン半島出身の監督、エミール・クストリッツァの『オン・ザ・ミルキー・ロード』や、北欧フィンランドのアキ・カウリスマキのテイストも感じられます。
『永遠に僕のもの』
1970年代初頭のアルゼンチンを震撼させた、連続強盗殺人犯がモデルの物語です。