石丸幹二「描かれているのは人ごとではないと気づいてもらえたら」―ミュージカル『パレード』再演への思い
だからこの作品は、挑戦しがいがあるなと思ったんです。結果、ああいった衝撃を生み出せたことは成功だと思いますし、だからこそ再演も強く望みました。今回もまた、その波動をより多くの方にお届けしたいと思っています。
――“レオ・フランク事件”と名を残す、実在したレオという人物を演じるには非常に精神的な重圧があったのではと推察します。
まあ、これまでもミュージカルの中で劇的な人生は歩んで来ていますので、ハムレットも然りで(笑)。確かに重いですよね。でも重いだけに、その役を演じる意義はすごく大きいなと思いました。自分の信念を揺るがさずに貫くというのはとても辛いことなんだと学びましたね。
レオを演じるにあたって、歴史を色々と調べ、考えました。彼の生い立ちから、なぜこういう事件に巻き込まれたのか……とか。今回の稽古が始まってから気づいたこともあります。やはりなるべくして彼はこうなったのだな……という結論にたどり着きもしたんですけどね。当時のアメリカの、白人の非白人に対する差別意識、とくにその意識が根強い地域だからこそ起こった悲劇なのだなと。そうした問題が描かれている映画や本、ミュージカルに至るまで、片っ端から探して、観たりしていましたね。