2022年3月28日 12:00
福士誠治×林遣都 名作戯曲『セールスマンの死』で兄弟を演じるふたりが、今に問いかけるもの
自分の家族を思い出すような普遍的な戯曲
──そもそも林さんは、「数年前にこの作品を知り戯曲を手に取って、あまりの感動に、いつか自分は『セールスマンの死』をやるんだと心に決めた」とコメントされていました。それも、ご自身の家族を思い出すような戯曲だったからなんですね。林はい。そうなんです。福士アーサー・ミラーのこの戯曲の初演は1949年で、物語もその頃のアメリカの時代背景や社会情勢が反映されていますが、書かれていることは普遍的。ビフが父親から過剰に期待されていることも、今はここまではないのかもしれないけど、自分も野球をやっていた頃は、親は「お前の好きなように進んだらいい」と言いながらも新しい野球道具を買ってくれたりしていたので、上手く乗せられていたような気もする(笑)。
もしかしたら、僕の知らないところで野球選手にしたいと話してたのかもしれないし。そういう家族関係を上手く回していくための嘘は、変わらずあると思うので、わかるところが多い。
そこが面白くもあり、演じるにあたっては難しいところでもありますね。林どんな時代でも、人は常に世の中の不条理に巻き込まれていくというか。今もコロナのパンデミックがあったり。