緊急走行中の救急車に道を譲らないとどんな罰則がある?
■道を譲らないことによって搬送中の患者が亡くなったらどうなる?
道を譲らなかった運転手がいたことによって、救急車の到着時間が遅れ、搬送中の患者が亡くなったり後遺障害が残ったりした場合、運転手に民事上ないし刑事上の責任を問えるのか?という疑問が生じるかもしれません。
この問題は民法や刑法の教科書事例のようなものですが、因果関係や故意・過失があれば(そして実務上はこれらが立証できたとしたら)、運転手は民事上ないし刑事上の責任を負うことになります。
ただし、実際には、たとえば到着時間が2分遅れたとして、2分早く病院に到着さえしていれば適切な治療を受けられて患者が生存していた(あるいは後遺障害が残らなかった)はずだという因果関係の立証は非常に困難です。
緊急車両妨害のケースに限らず、自動車にドライブレコーダーを付けておくことにより加害者となった場合も被害者となった場合も身を助けたり裁判での立証に役立ったりすることがありますので、まだドライブレコーダーを付けていない方は設置を検討してみるとよいでしょう。
*著者:弁護士 木川雅博 (企業法務(会社運営上生じる諸問題)