2017年11月16日 21:40
あなたも無縁じゃない「相続問題」遺言以外の対処法とは?
また、いずれの制度もご本人が亡くなった場合、後見人ができることはありません。そのため、基本的にはご本人が生存中に限り、財産を管理・維持してもらえるだけです。
■新たな対処方法としての民事信託制度
そこで、近年新たに活用され始めた対処法が民事信託制度です。
民事信託とは、不動産や金銭等の資産を一定の目的に沿って信頼できる者に託し、その目的の範囲内で管理、運用及び処分を可能にする制度です。
その最大のメリットは、委託した方が亡くなった後も効力を残すよう取り決めることによって、相続の手続をすることなく、スムーズな資産継承が可能となる点にあります。
また、民事信託後、委託した方が認知症になった場合であっても変わらず管理、運用及び処分ができます。
デメリットとしては専門性が高いので専門家の関与が必要不可欠である点と、子の認知等の身分行為はできない点が挙げられます。
このように、民事信託制度は、遺言によって対処できない問題と後見制度によって対処できない問題のそれぞれを解決する画期的な制度と評価できます。
もっとも、民事信託制度は未だ十分に認知されておらず、活用例も多くないのが現状です。