引越し業者に家具を傷つけられた…補償は受けられる?
責任の有無の判断はともかく、客観的に引っ越し会社の責に帰すべき事由があることが明らかな場合は、作業完了後の現金支払を留保し、賠償額との相殺を検討するのが一番実効性はあります。
引っ越し完了後、代金を現金で支払った後は、後日交渉しても、返金は難しいと思います。
したがって、本当に引っ越し会社の責任がある場合は、後で交渉は得策ではなく、作業完了の現金支払い時に交渉する必要があります。
高価な家具や貴重品は引っ越しの保険に加入することも検討しましょう」(星野弁護士)
■やむを得ず生じた場合は請求できない
「なお、引っ越し作業で他の家具を損傷させないことは、引っ越しサービス契約における引っ越し会社の債務そのものではなく、引っ越しサービス契約の付随的な義務として導き出せるものです。
したがって、作業の難易度も勘案し、合理的な注意義務を尽くさずに損傷した場合には賠償責任がありますが、ある程度の注意を尽くしても作業の難易度が高く引っ越し会社の責に帰すべき事由とはいえないようなケースでは、そもそも責任は問えません。例えば、2階のベランダから大きなピアノを搬入するような場合、通常は特別料金を払いますし、毛布等で傷がつかないよう細心の注意は払うでしょうが、それでもベランダの欄干に多少傷がつくことや、落下のリスクはゼロではなく、作業の難易度からして、相当の注意を尽くしてもやむを得ず生じた損傷は、引っ越し会社の責任とならないこともありえます」