くらし情報『OMS戯曲賞受賞歴を持つ劇作家・山脇立嗣氏の脚本で チーム・クレセント 第6回公演『その先の凪』上演決定 コロナ禍で息子を亡くした老夫婦が、生前の息子の心の在り様を知っていく物語』

2024年3月15日 10:00

OMS戯曲賞受賞歴を持つ劇作家・山脇立嗣氏の脚本で チーム・クレセント 第6回公演『その先の凪』上演決定 コロナ禍で息子を亡くした老夫婦が、生前の息子の心の在り様を知っていく物語

今を書く難しさを感じていました。自分の立ち位置が定まらず、心がどこへ向かえばいいのか不安定なままに。
世界中が同じ厄災のもとで堅唾を呑んで耐え忍んでいた時期だったなどと注釈を添えたりすると、後世の人は思想を超えて地球規模の一体感が生じた瞬間だったのではと誤って捉えてしまうのかもしれません。しかし実際にはごく身近なコミュニティ、会社や学校、町内の単位でさえ人は「自粛」と称して分断され「接触」を恐れ、目に見えぬ世間の同調圧力にひたすら怯えて自らも猜疑心にさいなまれる、一体感など望みようのない真逆の期間であったと私は認識しています。とても辛くて窒息しそうな時でした。(でしたと過去形で語れるほどに今現在コロナが完全に収束したわけではありませんが……)
コロナ禍にあって当初の自分がそうであったように、心の安定と不安定の狭間で揺れ動く人を描こうとしてセリフを綴ったのが本作品です。静止したかのような世界だったからこそむしろ、こぼれ出る感情の揺れに敏感になっていた日々を刻みたくて。

山脇 立嗣

【山脇立嗣プロフィール】

1962 年 京都市生まれ。

1981 年より演劇活動開始。
1994 年 日本で初めて、日本語による演劇の全編に日本語の字幕を投影。

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