名匠ハネケ監督が描く、SNS時代の家族ドラマは『ハッピーエンド』?
その画面上に、撮影者による短いコメントが矢継ぎ早に打ち込まれていく。何気ない日常を切り取った映像が、動画共有アプリの投稿によって垂れ流される様子は、遠くの人と瞬時につながりながらも、身近な人と親密につながれない現代人の孤独を表しているようにも見えてくる。
闇を抱えた少女を演じるのは、ハネケ監督に抜擢されたファンティーヌ・アルドゥアン
もうすぐ13歳になる少女・エヴは、両親の離婚のため父と離れて暮らしていた。しかし、ある事件をきっかけに、父親の家族が暮らす豪邸に身を寄せることに。彼女の新たな居場所となったロラン家は、使用人家族を敷地内に住まわせるほど裕福だが、家庭内がうまくいっているとはいえない。表向きは互いに気遣い、愛情をもって接しているように振る舞いながらも、家族それぞれが抱える心の痛みや苦悩には、深く立ち入ろうとしない。
一家が迎える結末は、果たしてハッピーエンドなのか
ある秘密を隠しながら、周囲に心を閉ざす少女・エヴ。そんな彼女の闇に気付くのは、祖父のジョルジュだけだ。
「死」に興味を持つ思春期の少女と、「死」