プラムで作る蒸留酒「スリヴォヴィツェ」にまつわる、あたたかい思い出【いろどりのチェコ vol.16】
おじさんが庭から家の中へ向かって夫人に「グラス持って来てー!」と声をかけている。ショットグラスを4つ持って表へ出てきた夫人は突然庭先に知らない日本人がいるという状況を飲み込めないながらも笑っていた。
貯蔵庫の中は、小さな居間のような可愛くしつらえられたお酒を飲むための部屋と、いわゆる昔ながらのワインセラーに分かれていた。セラーの中はひんやり涼しく、何種類かのお酒が樽に入って並んでいる。チェコの主食であるジャガイモのストックも転がっている。
「スリヴォヴィツェ」のアルコール度数はなんと50%!
ショットグラスに入れてもらった透明の液体はプラムの甘い香りで、「梅酒みたいだね〜」なんて笑っていたが、ひとくち口に含んでみると胃がカッと熱くなるアルコールの強さ。思い切って飲み干したらおかわりを勧められたが、帰宅出来なくなるといけないのでそれ以上は遠慮した。
たまたま家の前を通りかかっただけの見ず知らずの外国人を、彼らにとって大切な空間であろう貯蔵庫に招いてお酒をご馳走してくれたチェコ人のご夫婦。