と振り返る。
プロジェクトに転機が訪れたのは「エージェントをしている息子から電話がかかってきた時でした」とトーマスは語る。「息子がベン・ウィートリーという監督がこの企画をやりたいという内容でした。私はすでにベンの映画を観ていましたから、ベンとバラードの世界は完璧な組み合わせだと思ったのです。私は生前のバラードさんと交流がありました。彼は『クラッシュ』の完成前に亡くなってしまいましたが、映画化に対して熱心に取り組んでくれましたし、完成前ですが映画を気に入ってくれていました。もし、彼が生きていたら『ハイ・ライズ』の映画もきっと気に入ってくれたと確信しています」
これまでに数々の名作を手がけてきたトーマスは「いつも“真にオリジナルな映画”を作りたい」という。「J・G・バラードはいつも、私たちのために、私たちが考えられないようなことを考えてくれていました。
いつだって芸術は人生を模倣しますから、映画製作時にはそんなことを考えてもいなかったのですが、結果的にこの映画は英国がEUを脱退することのメタファーになりました。この映画はエンターテイメントではありますが、緊張感にあふれた映画です。最近の大作映画はパジャマのままで観に行けるような映画ばかりですが、この映画は靴を履いて、緊張感をもって楽しんでほしいです」
『ハイ・ライズ』
8月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
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