初の外部演出に木野花を迎え、虚構の劇団が新たなる旅に出る
ということ。だからこそ鴻上は「木野さんの演出で這い上がってこられたら、役者として絶対に一皮剥けるはず」と大きな期待を寄せる。
上演する『夜の森』は、かつて木野が若い役者の育成を目的に立ち上げた「木野花ドラマスタジオ」の卒業公演用に書き下ろしたもの。元はスタジオの生徒に当て書きされた作品だが、今回木野は「エチュードをやりつつ、虚構の役者に合わせて変えていこうと思っています。そして私としても一度やっているものなので、これをいかに壊せるかが課題。しかも無意味に壊すのではなく、虚構でやるからこそこうなったという必然的な舞台が見つかったらいいですね」と、本作への意欲を覗かせた。さらに木野は、「若い役者への演出は、未熟である分、より頭を使わされる」と言う。そこが木野にとって大きな魅力であり、同じベテラン演出家である鴻上としても、共通する思いなのだろう。
ちなみに本作、鴻上は完全にノータッチ。だが誰よりもこの作品を楽しみにしているのは鴻上自身のようで、「4年間鴻上がつき合ってきた虚構のメンバーたちが、木野花ワールドでどのような花を咲かせるのか、非常に楽しみ」と目を輝かせる。鴻上&木野のWテイストで味わう、一度で二度おいしい舞台。