『ゴドーを待ちながら』『幸せな日々』など演劇史に残る名作で知られるノーベル賞作家のサミュエル・ベケット。彼が1958年に発表した戯曲『クラップ~最後のテープ~』をもとにしたオペラが待望の日本初演を迎える。
サミュエル・ベケット戯曲オペラ「クラップ~最後のテープ~」日本初演の公演情報
本作は、ベケットと親交の深かった作曲家マルセル・ミハロヴィチが戯曲『クラップ~最後のテープ~』に音楽をつけ、全1幕のモノ・オペラに仕立てあげたもの。物語は、69歳の誕生日を迎えたクラップ老人が、長年の習慣である毎年1年の回顧をテープに録音する準備をしながら、30年前の自分が録音したテープを引っ張り出して聞いてみる...というところから始まる。初演は、ミュジーク・コンクレートなど実験的な前衛音楽が盛んだった1961年のパリ。ミハロヴィチによる音楽は、生の歌声、オーケストラとテープの音(=録音されたもの)を組み合わせるという当時としては画期的な手法が用いられ、大胆かつ忠実にベケットの世界観をオペラ化している。
今回の日本初演では、1961年の初演と同様、ひとりのバリトン歌手の歌声とテープに録音された音を中心に物語を紡ぐ。