それを、ACTシアターでやるのは正直、かなり難しいですね」。とはいえ、意識的に演じ方を変えるつもりはないという。「玉三郎さんから教わった通り、早替りショーで終わらせずに演じる役々をきちんとやる。そこはぶれません。自分が持っているものを全て出したいと考えています」と表情を引き締めた。なお、『お染の七役』には勘九郎も出演。七之助が演じる七役のひとつ、土手のお六の亭主、鬼門の喜兵衛を演じる。兄弟の息の合った芝居が期待できそうだ。
これまでとはひと味違うこの演目立てにこそ、第4回ならではの挑戦がある。「赤坂大歌舞伎はもともと、歌舞伎を観たことのないお客様にも歌舞伎に触れてもらい、好きになって帰ってもらう企画。うちの父はプロデュース能力がすごくて、ずっとそういう演目立てをしてきました。でも今回は、本当に挑戦。現代的な劇場には合わないかもしれない作品で、お客様を歌舞伎の魅力に引き込むのは僕の責任ですし、逆にこれを好きになってもらえたら、可能性が広がるはずです」(七之助)
「ACTではずっと、演出を変えずに古典を上演しているのも特徴です。今回の挑戦を通して、また見えて来るものもあるだろうから、先へと繋げることができるのではないかと思います。