ウィーンミュージカルということもあり、ワルツやクラシック、ロック、聖歌など多彩な要素を取り入れた楽曲も魅力だ。「クレアは人生最高の役です。クレアとして歌う『正義』『世界は私のもの』という曲は毎回、命を懸けて歌っていました。音域も半端ない広さで非常に体力がいるんです」
大金に目がくらみ、アルフレッドの周りの人々の態度が手のひらを返したように変化する様子は拝金主義の現代を彷彿とさせる。「私も宝くじを毎年購入するのですが、当たらないですね(笑)。でも、当たった人の人生は果たして幸せなのか。大金が手に入ったことで何かしら悲しいことが起こったかもしれない。人生はいろんな意味で分からないんです」
また、凄まじい愛憎を抱えたクレアを通して、人を許すこととは何かとも考えさせられる。
「クレアはアルフレッドにずっと側にいてほしかったんでしょうね。幕が下りた後、物語の第2章が描かれるのかもしれません。観た後に想像していただけたら」。涼風自身はどうだろうか。「私はわりと人を許すほうです。答えは相手と自分とふたつあり、立場によって違う。相手の立場になるのは、なかなかできないから憎悪が生まれる。だから私は“なかったこと”にして許すようにしています」