一方の秋元も、気持ちを内に秘めた複雑な役柄だ。「やればやるほど難しいですが、やりがいのある役でしたと言えるようがんばりたい」。
ふたりとも河原の演出は初めてだが、「入江くんは最初の本読みから「いいじゃん」と感じさせてもらえたし、秋元さんは堂々としたもの」と、手応えを感じている様子。そんな稽古場を前田美波里が、「花が咲いたような存在感」で引っ張っているとか。「人間力がないと難しい作品ですが、本当にキャストに恵まれました。魅力的な登場人物をどう見せるか、あとは物語の運びやちょっとした空気感が粒立っていくように」と、河原。事件の展開はもちろん、登場人物と彼らが紡ぐニュアンスが観客の想像力を刺激するようだ。
さらに、クラシカルなムードも見どころのひとつ。
「タイムスリップしたかのような感覚が味わえるかも。時代の感覚に共感したり、考えたりして楽しんでいただきたい」と秋元が話せば、「その通り!」と河原もうなずく。「犯人すら人間味があって興味深い、古き良きサスペンスです。クラシカルなイギリスの雰囲気が、逆に新鮮にうつると思います」(河原)。
舞台『夜が私を待っている』は、10月15(土)から30(日)