河原も「チャーミングですね」と笑顔でうなずいた。
細かな修正を重ねながらブラッシュアップを図る河原は、演出席を離れキャストの前で自ら演じてみせることも。こだわっていたのは、登場人物の感情や行動の“必然性”。「今の演技では芽衣(春風ひとみ)が上機嫌になる理由がわからない。相手を動かし感情に作用するにはどうしたらいいか考えると、おのずと取るべき動きの分量や大きさが決まってくる」と指示を投げかけ、キャストに最善策を探らせた。これにすぐさま反応したのが、兄妹役の小西とマイコ。2014年と2016年に上演された『ガラスの仮面』に出演し、同じチームで作品づくりに携わってきた2人は、本作でも息がぴったり。ベテラン勢の山西や村井もすかさず応戦すると、ぐっと魅力あるシーンに変化していく。
さらに歌唱シーンの稽古では、キャスト達が伸びやかな歌声を聞かせた。本作には列強の共同租界地であった異国情緒あふれる上海にふさわしく、唱歌やジャズなど多彩なナンバーが登場。バンドの生演奏が舞台に華を添えるという。やがて恋に落ちる清隆と紅花をはじめ、音楽がどのように人間模様を彩るのか、劇場で確かめよう。
東京公演は7月29日(土)