そのタイミングと、この6人で向き合いたいテーマが合致したので、今回の作品をつくりました」(松居)。このテーマは“全員劇団員”へのこだわりにも関係しており、「役と本人の間くらいの物語がいいなと思ったので、今作ではキャストそれぞれに『もういない人のことで思い出すのはどんな場面か』など聞いて、台本を書いたんですよ。客演だとそんな踏み込んだことは聞けないし、それを芝居にするのも失礼になってしまうので」。
稽古が始まっての印象を「テーマから、みんなが感傷に引っ張られて暗くなったらいやだなと思っていたのですが、意外とワチャワチャ感が出ていて。楽しくなればなるほど切なくみえる構造ができるような気がしています」。松居と目次以外は新団員だが、これまでもゴジゲンの公演に客演で参加してきたメンバーなので、この6人で芝居をするのは3回目となる。稽古でもエチュードを重ねるように芝居をつくり、「これ、どうしようか?」と話し合う姿も多く見られた。「外の公演だともう少し演出家として道をつくるかもしれないですけど、ゴジゲンではこういうつくり方です。
特に今作はその人の心に残った何かが舞台に乗ったほうがいいと思っているので、答えはその人の中にしかない。