SF金字塔的作品ならではの“爽快感”! キャラメルボックス『夏への扉』開幕
『夏への扉』が発表されたのは1956年、今から60年以上前だ。つまりこの作品こそが“SFにおける古典”であり、“元祖”というわけなのだ。しかし、この作品が名作たるゆえんは「挫折したひとりの青年がいかに再起するか、しかも起死回生の一手で」というストーリーの面白さだろう。スピーディーに展開されるリベンジの鮮やかさ、時空を越えて成功させる伏線回収の見事さは、まさに“爽快”のひと言!
初演からの続投でダニエルを演じる畑中は、どん底まで落ちながらも周囲の支えもあり、見事に復活を果たす主人公を好演。物語が進むにつれ、ダニエルの復讐は「人」へ向かうのではなく、彼がリベンジを果たすのは、“自分自身の人生”であったことがわかる。畑中の繊細な演技により、ダニエルの成長譚でもあることを改めて気付かされた。愛猫・ピートをユーモラスに演じた筒井とのコンビネーションも絶妙で、ふたりでストーリーテリングを巧みに担ってゆく。
ダニエルに好意を持ち彼の味方となるリッキイを演じたのは木村玲衣。
11歳から21歳まで、少女から大人の女性への演じ分けを見事にこなす。ダニエルを裏切る婚約者ベルを演じた原田樹里は、バービー人形のようなビジュアルや今までにない“悪女”っぷりで存在感を放つ。