加藤和樹が役者としての今を賭けて挑む、サスペンス劇『暗くなるまで待って』
『暗くなるまで待って』は、その『罠』と同じワン・シチュエーション・プレイのサスペンス。「決め事が多くなり、1個でもボタンをかけ違ったらおしまい。大変ですが、良い緊張感にもなるはずです。視覚的なものに加えて、サスペンスの醍醐味なのが、会話。膨大な情報を、台詞でお客様に与えていかなければなりません。この台詞は立てなければならないとか、でも立て過ぎるとわざとらしくなる、とか、そういったところに難しさもやり甲斐もありますが、相手役に言葉をきちんと届けることができれば、お客様にも伝わると思っています」
加藤がロートのような悪人を演じるのは珍しい。「ここまでの極悪人は初めてかもしれません。役者が役の1番の理解者でないといけないので、彼がどんな人間で、どういう私生活を送っているのかを考えていく必要がある。
見た目だけでなく中身も彼として舞台上で立っていられることが目標ですね」
台詞をどう届けるか、役をどうとらえるかを語るその口ぶりからは、役者としての充実がうかがえる。
「20代後半くらいの頃、演出家の白井晃さんとの出会いもあって、“自分と役を別物に考えるのではなく、自分のベースに自分の言葉として出てくるものが役になるんだ、役者って難しいことをやってるんだな”と気づいて。