くらし情報『仁左衛門が「集大成」として演じる、江戸一の色男、助六』

仁左衛門が「集大成」として演じる、江戸一の色男、助六

実は助六の兄である白酒売新兵衛役には、中村勘九郎が扮する。「中村屋さんの家と『助六』は、私にとって繋がりが非常に深いんです。この演目を私が初演した時(1983年)は中村屋の十七代目のおじ様(中村勘三郎)に教えていただいて、その次にやった時(1991年)には十八代目(勘三郎、当時は勘九郎)が白酒売で出てくれました。十八代目は“自分も助六をやりたい”“やる時には兄ちゃん教えてよ”と。それが実現できなかった残念さ。今回は、勘九郎くんに思いを繋げて、傍で観ていてほしいと思いますし、七之助くんには、大和屋さん(玉三郎)の指導を受けて、ゆくゆくは揚巻役者になってほしい。そう期待しています」

仁左衛門といえば、華・様式美とリアルな心理描写の両方を見事に造形する役者。彼はどのようにこの芝居と向き合うのだろうか。
「私が台詞において1番大事にしているのは、言葉を伝えるのではなく思いを伝えること。言葉に気持ちを乗せれば、台詞回しも変わってきますから。この助六は心理を深く掘り下げるというものではないけれど、かと言って上辺だけ、華やかさだけではダメ。その兼ね合いが大事ですよね。お客様に楽しんでいただくために、まずは役者が気持ちよく演じることが大事だとも思っています」

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