総合演出を手掛け、あらゆる面で梅棒の顔である主宰・伊藤今人は今回出演せず、演出に専念。即断即決のブレない司令塔・伊藤を基盤に、実にテンポよく稽古は進んでいく。どんなJ-POPナンバーが使われるかも、梅棒公演の楽しみのひとつ。なんと定時制ver.では、全日制ver.と使用曲が約3割も異なる。この日の稽古の始まりは国民的アイドルグループの代表曲のシーンで、純情少年・道玄坂光徳役を演じる千葉涼平(w-inds.)のキュートさが弾ける。初演でも大盛り上がりしたシーンだが、振りや見せ方の随所にアップデートの跡が。ノンバーバル(=言葉を用いない)の公演だが、稽古場には常に伊藤の声が響く。「ハイ、どいた!」「殴られる!」などナレーションを当てるように盛り立て、キャストとのコミュニケーションも欠かさない。
それが一方的でなく、「ここの細かい段取り、まだ決まってないです。今決めましょう」など、キャスト側からもズバズバ球が投げられるところが心地よい。身体能力の高い総勢20名のキャストが縦横無尽に動き回る舞台は、どんなに自由に見えても緻密な計算が必要だ。クールな計算だけでは感動させられないが、「踊りは気持ちだ!」