宝塚歌劇、紅ゆずる率いる星組が往年の名作で魅せる!
荒々しさの裏にある優しさや寂しさも繊細に表現しながら、哀愁を漂わせる。
トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)が演じるマルギットは、世間知らずであるがゆえに真っ直ぐで、粗野なカールにも怖じけることなく向き合える。綺咲の愛らしさも生かされ、純情で可憐なお嬢様のマルギットにぴったりとハマっている。礼真琴(れい・まこと)が演じるフロリアンは、常に冷静で紳士的、自分の思いが叶わずとも、愛する人が幸せになるなら身を引くという大人の男だ。マルギットに深い愛情を持ちながらも、マルギットの心がカールにあると分かれば、ふたりを祝福し、周囲にも理解を求めようとする。愛とは何か、幸せとは何か…、マルギットを愛するカールとフロリアンの姿を見てそんなことを考えさせられ、グッと胸が締め付けられる。後半の展開には、鼻をすする音が客席のあちこちから聞こえてきていた。
第二幕の『ESTRELLAS(エストレージャス)~星たち~』は、満天の星々を星組生にたとえたショー。
躍動感のあるプロローグで始まり、J-POPを使ったメドレー、耳なじみのある洋楽のヒット曲をアレンジしたメドレー、星空を背景に一夜の夢を歌い踊る「星夢(スタム)」