「加山雄三さんの曲『海 その愛』では、スルメイカの丸干しと昆布でできたドレスに、鰹節のストールを巻いて出たら、お客さんがドッと沸いて。自分も歌ってて楽しかったんだけど、劇場に臭いが残ってダメでした」。他にも『ケ・セラ・セラ』では、トレビの泉を模した噴水型の衣装で水を撒き散らし、観客も負けじと噴水にお賽銭を投げ入れ応戦(?)するなど、観客参加型の演出が持ち味。加えて、衣裳替えも舞台上で行い、出突っ張りでもてなすのが梅ちゃん流だ。
「今は映像で場をつなぐ舞台もあるけど、僕はひとが一生懸命もがいて汗かいてる舞台の方が、観るのもやるのも面白いと思う。超アナログなことをやってます。ハイヒールで2階席まで駆け上がれるのも、お客さんの拍手や笑い声があるから。僕も乗せるし、お客さんにも乗せられる。
そんな瞬間があると、いい舞台だなと思います」
今回は喰始が監修に回り、新たにすずまさが構成・演出を務める。還暦を境に、梅ちゃんの新たな章の幕が開く。「子どもからお年寄りまでいろんな世代が一緒に笑えるのが、僕らの舞台のいいところ。僕自身、『これを見逃すともったいないな』と思いながら面白いことをやってるので(笑)。