尾上右近、自主公演が関西初登場「存分に楽しんで!」
物語は痛快な義賊もの。5人の盗賊が七五調で名乗りをあげる演出は、秘密戦隊ゴレンジャーなど後のヒーロー番組にも影響を与える。
片や『酔奴』は、雪の中で酔っぱらった男がいろんな人間に扮する様を踊りで表現する。右近の義太夫の師匠、鶴澤藤蔵ら文楽座の特別出演で贈る。「猿之助のお兄さんに澤瀉屋のお家芸をご提案いただき、春秋座でやらせていただけることに。ご縁として繋がりがあってありがたいなと。技術としては難しいですが、踊りは見る人の解釈に委ねられるのが最大の魅力。散々おどけていた男が最後はふと正気に戻ったような顔になる。
流れる胡弓の音色も絶妙で。僕は田舎育ちの男の寂しさがほんのり香って切なくなるけど、どう感じていただけるのか楽しみです」。
共演に中村梅丸ら後輩が出演するのも今回が初めて。20代後半となり、いずれは後輩を引っ張る立場になることも「ほんのり意識し始めた」と笑う。自身の生まれる以前と以後の2つのルーツに由来する演目を得て、さらなる高みを目指す。「『弁天娘~』は何百年も続く歌舞伎の古典が、現代の漫画にもありそうな面白さだったり、衣裳や舞台に見る色彩の美しさなど、歌舞伎を初めてご覧になる方にも楽しめる要素がいっぱい。