百貨店の裏側を覗き見!?舞台『上にいきたくないデパート』
ストーリーは小木曽が巻き込まれた外商顧客へのトラブルを中心に展開していくが、その途中でほぼ全ての登場人物たちの個々の部分がクローズアップされ、さまざまな形で解決されていく。また「今の仕事を好きだったはずなのにいつしか情熱が持てなくなった」「同僚を好きになれない」など、彼らの持つ悩みや葛藤が妙にリアル!コミカルな部分に笑っているうち、誰かしらの役柄に共感する観客も多いのでは?ちなみにこの舞台で1番のコメディリリーフとして強烈なインパクトを残しているのが、顧客・松金役の岸本鮎佳。今作の作・演出をつとめた彼女の多才っぷりにも注目だ。
そしてリアルと言えば、この作品が上演されているのが日本橋三越本店の中にある三越劇場というのが何とも!まるで本当に百貨店の中で、スタッフたちの裏側を覗き見しているような気分になれるのだ。また、音楽は全編ジャズバンド「Calmera」による生演奏。このゴージャス感もなんだか、百貨店を訪れたワクワク感を再現してくれているよう。コメディとしてはもちろん、“お仕事”ものとしても楽しめる本作。この最高のシチュエーション、ぜひ劇場で体験して欲しい。
『上にいきたくないデパート』は、8月29日(木)まで東京・三越劇場にて上演される。
取材・文:川口有紀