初演を担った巨匠ダヴィッド・オイストラフのレコーディング盤を聴き込み、17歳で初めて演奏して以来レパートリーとなった。「ショスタコーヴィチはプロコフィエフと並ぶすばらしい作曲家。表現が制限された旧ソ連という難しい時代を生きた人で、実はいろんな作品を残している。ソナタ、室内楽などいろいろ演奏してきましたが音楽が深いですね。ロシアの本当の美しさや皮肉っぽさ、いろんな背景を感じて考えさせられる」。とりわけヴァイオリン協奏曲第1番は、4楽章制で40分以上の大作。変化に富んだ構成が聴きどころと語る。
「例えば、第3楽章はすごく暗いところをドシドシ重苦しい気持ちで歩くところから始まって、続くカデンツァは急にひとりで演奏するソリストの見せ場。
そこからフィナーレまではお祭りっぽく活発な感じになっていく。それぞれの楽章に全部違うキャラクターが詰まっているのが魅力です。今回はいま大注目のサントゥ=マティアス・ロウヴァリ指揮とエーテボリ交響楽団の演奏を聴ける貴重な機会。彼らも気合い十分に来ると思うので、僕自身ソリストとして演奏できることをうれしく思います。ぜひ多くの方に聴きに来ていただきたいなと思います」。