片桐はいり、『未練の幽霊と怪物』で「いろんな境地にお連れします」
”。通常は狂言師が担い、物語の設定や背景などを解説する役どころで、岡田はドイツの公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレのレパートリーとして能をモチーフに創作した『NO THEATER』(2017年)でも間狂言を差し込んだ。その“進化版”となる今回、片桐は自身に求められる役割を「狂言の笑いの部分を担当するんじゃないでしょうか」と岡田の構想から類推する。同時に「題材のインパクトを和らげて受け入れやすくするためにお声がけしてくださったわけではない気がする」とも。
上演に際して、岡田は「社会の犠牲者が果たせなかった思いを直視せず忘れてしまうことに抗うために、能の構造を借りる」とメッセージを寄せている。開幕は6・7月。東京オリンピック・パラリンピックを前に新国立競技場の問題を再び俎上へ載せるわけだが、片桐は「岡田さんは政治的なメッセージを訴えるために作品をつくろうとしているわけではないのでは」と読み解く。
大切なのは、こうしたテーマを題材にどれだけ興味深い作品をつくれるか。
キャストに並ぶ森山未來、栗原類、石橋静河、太田信吾や謡手として参加する七尾旅人らの顔ぶれに、片桐は「実現できそうな人たちが揃いましたよね」