木村達成×佐藤寛太「役を全うして『銀河鉄道の夜』テーマ読み解く」
と続く。だとしたら、二人はこの作品をどのように捉えているのか──。
ジョバンニとカムパネルラの旅路には、座礁したタイタニック号の被害者が銀河鉄道の乗客として居合わせるなど“死”の影がつきまとう。これに、佐藤は「生きていることや日常のありがたさを実感する」「日ごろあまり身近でない“死”に触れることで、宮沢賢治の死生観をキャッチしてもらえたら」と語った。
カムパネルラの取った行動に「他人のために生きる自己犠牲について深く考えた」と話すのは木村。また劇中の“生きていたことを証明する、それが残された者の務め”というセリフを挙げながら、「周りの人が亡くなることは誰にでも起こり得ることで、その人たちを忘れないでいることが、ジョバンニに象徴された役割だと思います」と自負した。
個人で捉えた作品のテーマを述べながらも、木村と佐藤は「感じ方は人それぞれ」と多様な価値観を持つ観客に向けた気配りも忘れない。「賢治がこの作品から何を受け取ってほしかったのか、僕らも役を全うしながら読み解いていきます」「劇中にたくさん散りばめられた胸を打つセリフから自由に感じてください」と観客に呼びかけ、取材を結んだ。
公演は9月20日(日)