詩になる“直前”の言葉が集まった『最果タヒ展』で創作を追体験
“いま”の空気をキャッチし、時代の感情を鮮やかに表現する詩人・最果タヒの作品展示に注目が集まっている。展覧会の名は『最果タヒ展われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』。東京・渋谷パルコ4階 パルコミュージアムトーキョーでの会期スタート前日に行われた報道内覧会の様子をレポートする。
「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」チケット情報
20代で現代詩手帖賞、中原中也賞を獲得して以来、ツイッターでの作品発表、詩集の映画化(石井裕也監督作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)、作詞提供、ホテルとのコラボレーションなど幅広い活動で知られる最果。本展では、詩になる“直前”の言葉が集められた8つの展示空間を通じて、来場者が主体的に詩を体感できるインスタレーションが展開される。
特に圧巻だったのは、会場で最大の展示面積を占める《詩になる直前の、渋谷パルコは。》だ。
天井から吊るされた無数のモビール群にはそれぞれ脈絡のない断片的なワードが連なっており、来場者は揺らめくモビールを分け入りながら鑑賞する。まるで言葉のシャワーを浴びているような感覚に陥る一方で、展示内を歩き回ると自然と目につき琴線に触れてくる語は限られることに気づく。