老夫婦の愛を描くもうひとつの「ロミオとジュリエット」
と語る。
“老ジュリエット”が語るのはジュリエットのセリフだけではない。「ロミオやマキューシオのセリフも言うことで、あの初々しくて可憐なジュリエットとは違うジュリエットが浮かび上がってくる。ロミオも自ずと違うロミオになります。だから長く一緒にいられる夫婦になったんだろうなとも思うんです」と土居。大森も“老ロミオ”に、「『いつまでもここにいよう。ここ以外に場所があることなど忘れたままで』というようないいセリフがあって愛を感じる」と話し、「観終わったあとに皆さんも、そばにいる人を大事にしようと思ってもらえたら」と付け加える。
そもそもは昨年夏に公演日未定として上演が発表され、事前に稽古だけが行われていた今作。
通常よりもたっぷりとあった稽古期間で、翻訳監修を担った松岡和子や気鋭の若手演出家・荒井遼と共に、「柔軟にいろいろな探り方をしていけた」と二人は声を揃える。シェイクスピアに詳しいベン・パワーが生み出した異彩を放つ戯曲は、この日本初演で、さらなる深淵を見せつけてくれるだろう。
(取材・文:大内弓子)
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