貴重なふろくの原画も!"250万乙女" が熱狂した〈りぼんのふろく〉およそ2,000点が京都国際マンガミュージアムに集結
つまり当時の購入者が現在まで大事に保管しているのです!その事実にすでに時代を超越した少女文化への愛情が……!【1970年代】ふろくで乙女心を鷲掴みに高度経済成長を経て豊かさを取り戻した生活の変化は、もちろん少女の生活環境にも。ちなみに〈 ハローキティ 〉誕生は1974年。〈 りぼん 〉は連載マンガ家描き下ろしのハイセンスな紙ものふろくを提供することで少女たちの心を掴んでいきました。陸奥A子、田渕由美子、太刀掛秀子ら当時の人気マンガ家たち手がけたふろくは、流行のアイビールックを取り入れたものも。いまのわたしたちでも持ってても恥ずかしくない!と思えてしまう大人っぽいテイスト。マガジンラックなど、ふろくのバリエーションがより一層増えてきたのもこの時代。
さくらももこの〈 ちびまる子ちゃん 〉といった今でも続く人気作もこの時期に生まれ、〈 りぼん 〉はいつしか名実ともに売り上げナンバーワン少女マンガ誌としてその地位を不動のものとしていきます。また、当時の連載マンガ家たちは連載用の原稿にプラスして、ふろく用にイラストを描き下ろしていたというからそのハードワークぶりは計り知れません。今回の展覧会では当時の貴重なふろく原画も特別に展示されています。時を超え、制作背景を辿れるのはファンにとっては至極。
2001年に日本雑誌協会がプラスチックや金属を使ったふろくの流通に関する規制緩和をしたことで、大きく変化したふろくを取り巻く環境。
この規制緩和によって、紙 "以外" が目立つようになります。〈 りぼん 〉ではCD-ROMでゲームを楽しめるふろくも。〈 神風怪盗ジャンヌ 〉〈 超GALS!寿蘭 〉など、20代の乙女心の源流はここに。
2010年代には文房具や美容グッズ、マフラー、リュックサック……、と、単一販売していてもおかしくないアイテムばかり。それでも一貫しているのは、ふろくを作る軸があくまで「少女たちがちょっと背伸びできる憧れのアイテム」であること。その中でも、特に昨年話題になった「まんが家デビューセット」は、ふろくでついてくる画材を使って、描いたマンガをそのまま投稿までできるという新人発掘を兼ねた変わり種!
ふろくファンル〜ム に寄せられた感謝の声会場内には来場者の寄せ書きコーナー!年代も国籍もバラバラの "乙女" たちからの声が数多く寄せられています。「なつかしすぎて泣きそう」「中学生の頃仲の良かった男子と半分ずつおこづかいを出し合って買って読んでいた」「見たら思い出すふろくばかりでテンション上がる」「姫ちゃんのりぼんレターセット入れ、今も現役です」「幸せ感いっぱいの企画でした」などなど……その言葉多くは乙女心を教えてくれた〈 りぼん 〉への感謝の言葉ばかり。中には母娘で熱狂的なファンというツワモノも。
撮影協力:京都国際マンガミュージアム / ※作者敬称略Text. Midori Tokioka (@mdrtkk)